CONCEPT

1921
マン・レイはアイロンをアートにした。
それは何の変哲も無い日用の道具が創りだす、日々という名前の「贈り物」だった。

1962
アンディ・ウォーホルはスープ缶をアートにした。
32枚の缶の絵は、たしかに大量生産されているだろう。
しかしウォーホルの手にかかることで、それは永遠で唯一無二の32枚になった。
白く輝く美術館に並ぶのは、僕らの日常の記念碑だ。

2017
ダイナーのテーブルの上にひっそり佇むケチャップやマスタードのあのボトルは、
僕たちのバスルーム、あるいは彼女の洗面台の棚の中へと
居場所を増やす。

それは、緩慢な日常への謝辞だ。
食べる事、髪を整える事、生きる事へのありったけの敬意を、
先人にならい表明する。
このつまらない日々こそが芸術だ、と。

PRODUCER
Atsushi Momiyama
ヘアメイク。理髪店「BARBER BOYS」を代官山にて運営。